つきはじめのひとこと。2020.12.1

2020年も最後の1ヵ月となりました。23日(祝)とこの週末は毎年恒例になっています「あおぞら写真館」を開催しておりました。


今年で4回目となるこのイベントは竣工写真のクライアントでもあります風建築工房さんとのコラボイベントで、自然の中で青空の下で写真を撮りましょう!という企画です。

4年目ともなりますと、毎年楽しみにしてくださるご家族が増え、2日間の予約はなんと開始10分でいっぱいになり、23日は急遽シークレット撮影会となりました。

建築のご縁から家族写真撮影のイベントにつながり、またパースの話や家づくりのお話も出来るので毎年とても楽しみにしています。今週は寺田はセレクトと現像まつりに追われています。

建築パースの仕事は若井は1996年から、寺田は1997年から始めていますので、もう20年を超えました。

始めた頃はより良い絵、クオリティの高い絵を描けるようになることが目標でしたが、時代と共に求められることが変わってきたように思います。

もう少し時間をいただけたらもっとクオリティを上げることができるのに。

そんなに何度も変更があるとお見積りの時と話が違ってくるなという事も増えてきました。

建築パースはもともとイメージをお施主様に伝えるためにあるもので、図面を元に完成予想図を制作するのですが、CGだとすぐに変更ができるということで、変更が多いです。
すぐに変更というのは手描きのように描き直しではないので、できるにはできますが、結局最後はCG上で手を入れていきます。CG上で調整するのは数字ではなく、絵なんですよね。
PCがやってくれるのは計算して下絵を描きだすこと、私たちはそのあと、(または途中段階に)味付けや盛り付けを考え整えていくわけです。
整えていく段階では心を込めてお客様にお出しするお料理の最後の仕上げをしているのです。
そこをもう少しお客様に伝えることはできないかなといつも考えます。

もちろんレンダリングでほぼ出来ていて、書き出して終わりというところもあると思いますが、内容をつめなくてはクオリティを上げることはできません。
部材の形状、素材、色はもちろん、照明計画まで、細かく決めれば決めるほどクオリティは上がっていきますが、時間とお金が必要です。
たとえば床材の色味を一つ変えるだけで、反射の仕方が変わったり、色がかぶったり。
照明の位置を変えるだけで、良い絵に見えるように置いていたサブのライトを移動したり照度を調整したり。計算前にその調整をするのか、簡易な下絵にCG上で描いていくのか。どちらにしても手間がかかっていて「すぐ」にできるものではありません。
ですがそこはプロなので長年の経験でお出ししているものがお客様からしたら「すぐ」なのかもしれません。ちゃちゃっとできるように思われるが「早い=高い」とはならないジレンマ。

人間の目というのはとても性能良くできているので、物の位置が少し変わってもその物をその物としてとらえられますが、絵や写真は違います。決まった構図の中で、見せたいものがよりよく見えるように、人間が調整して味付けをしているのです。
白い空間に白いものがいくつも並んでいても人間の目にはその物が認識できますが、白いキャンバスの中に白いものを白いと認識してもらうためには影をつけ、時には白く見えるように色を載せているのです。

これは工程をすべてお客様専用で動画を作って見ていただくしかないのかもしれません。
なんていうのは大げさな話ですが、何度もやりなおすというのは何度も仕上げをやりなおしているわけです。
許容範囲を超えるとモチベーションも下がってきます。そのモチベーションをどうやって保つのかというと、対価になるわけです。

お施主様にとっては建築が良いものになることが目的だと思います。
パースはこんな建築になるといいなという完成予想図。わくわくしてもらう最初のきっかけになればいいですし、最終的に決まった設計図を絵にして広告に使うもよし。
最初と最後が肝心だと思うのですが、いまはその間で終わってしまうことが多いです。

どういうことなんだろうと考えると、余裕がないという事なのかなと思います。
大事な目的はなんなのか、見失ってはいないでしょうか。

建築に携わる設計のお仕事というのはものすごく専門的な仕事で、もっと対価を得るべき仕事だと思うのです。ものすごく専門的な知識をもって、お施主様の思いを整理し形にしていくわけです。

設計担当者や施工担当者を選ぶとき、「金額」だけで判断をしていないでしょうか?

世の中が大量消費ではなくストーリー性のあるものをもとめ、この人から購入したい、この人が作る物を手に入れたいという流れの中、建築はどこにどう向かっていくのでしょうか?

新型コロナの影響で不要不急のものが削られた1年になりました。これはまだまだ続くと思います。パースも削られる要素になってくるかもしれません。

そしてもしかすると建築のプレゼンテーションに必要なものはパースよりももっとストーリー性を伝えられるものがあるのかもしれません。

この人(会社)に作ってもらいたい、この人(会社)と仕事がしたいと思ってもらえる何か。

最近は自分たちが持っているニッチな能力を今後どのように活用していけるかを日々考えています。

といいつつ設計検討のパースもじゃんじゃんお待ちしています!今月もどうぞよろしくお願いいたします。(寺田)


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